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バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)


© 2014 Twentieth Century Fox

BIRDMAN or (The unexpected virtue of ignorance)(2014)

監督:アレハンドロ・G・リニャリトゥ

アメリカ

出演:マイケル・キートン

かつてアメコミキャラで一世を風靡した俳優が、舞台で復帰を目指している。

公演間近なのだが、共演者が気に入らず事故をきっかけに共演者を首にする。

しかし、その事故は自分に備わった不可思議な力のなせる業だった(?)

現実と虚構を彷徨うかのように、連続する言葉と流れるような映像が紡いでいく。

舞台はブロードウェイの楽屋裏。

観ながら日本の舞台作品の作り方とブロードウェイとの違いを感じた。

日本の劇場は、ほぼ貸小屋になっている状況で、劇場としての個性が薄い。

それに比べるとブロードウェイ(ヨーロッパも同様かもしれないが)は、劇場に個性が見られる。 

それは何を基盤に作品を作ろうとしているのか、つまり、プロデューサーの存在が大きいように思った。

日本の作品作りは(特に演劇の場合)、作、演出に委ねられているところが多いのかなと。

ただ、最近は静岡のSPAC(静岡県舞台芸術センター:Shizuoka Performing Arts Center)、神奈川のKAAT(神奈川芸術劇場)、鳥取の鳥の劇場など、以前は利賀村など、劇場が主体的となって公演を企画するところが増えてきた。

閑話休題。

この作品の監督は『バベル』(2006年)など、これまでにも興味深い作品を作り上げている。

その技法は、一つに止まらず作品にあわせて縦横無尽に、しかも個性的な作り方をしている。

『バベル』では3つの場所がやがて一つに帰着する展開をしたのに対して、この作品は主人公の心情を「虚構」と「現実」という二つの側面から展開していく。

その主人公をマイケル・キートンが優れた演技力で支えている。

この作品はアカデミー賞最優秀作品他、主要4部門を独占しただけではなく、アメリカでの各賞をほぼ手中に収めている。

主演男優賞も、ゴールデングローブ賞をはじめ多数受賞していることからも、マイケル・キートンの演技の確かさが裏打ちされている。

また、彼は『バットマン』(1989年、監督:ティム・バートン)を演じたこともあり、その作品を見てきた世代としては、今回のキャスティングはその点で既に成功していると思う。

かつてバットマンだった男の行く末とでも言うのだろうか、それとバードマンンが重なっていく。

虚構と現実の違いは何か?

正直なところ分からない。

それは、意識というものが個体内での現象としてしか私には理解できないからである。

私は「私以外の意識」になったことがない。

「客観的」と言われることも、結局「私という主観」での認識でしかない。

世の中に客観というものがあるとするなら、私は私の意識を一度離れる必要があるが、そんなことはできやしない。

この映画を観ながら、本当の自分とは「なnじゃらホイ!」と思えてきた。

まるで、ジェットコースターに乗りながら自分の姿を見ているような、そんな感覚の映画だ。

© 2014 Twentieth Century Fox

バードマン公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/birdman/

4月10日より、TOHO名古屋シネマズベイ、伏見ミリオン座にて公開!


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